表題のごとく、本日の、私の、英語観を書きます。
前の「著作権」同様、明日に意見が変わっていない保証はないという気分を含んだものです。

さて、

話題1
クラーナハ展は、オーストリアのウイーン美術史美術館とTBSの企画です。
興味深いのは、オーストリア次期大使や美術館長の文書が英文だということです。
昔だったらドイツ語じゃなかったかなと思います。

話題2
テレビで紹介されるユーロ圏の政治家の発言も英語が多いと思います。

話題3
先日ロシア旅行でトラブったとき、ホテルの職員と、片言とはいえロシア語でやり取りしたのですが、最終的な確認のためには、英語を使いました。

話題4
海外で日本語を話すガイドの案内を受けていても、ちょっとややこしくなると「英語だとどうなりますか」と聞くことがあります。

例えば
美術館で
ガイドさんがクラシック絵画の前で
「これは、シソウテキな絵」
と、言いました。
「シソウテキ?」「思想的?」

私は見ただけでクラシックな絵であることがわかるのですが・・・・
ソ連崩壊後のロシアの美術館での話ですから、「思想的な絵」と言いますと「プロレタリア・リアリズム」を思い浮かべて・・・・「???」

ちょっとカタカナロシア語を書かせてください。
(問)「カーク ブージェット パ アングリースキ シソウテキ ?」
   「シソウテキ は、英語だとどうなりますか ?」
(答)「イデアリスム」

「イデアリスム」は、「思想的」と訳せるかもしれませんが「理想的」の方が一般的です。
でも、ソ連時代「理想的」は「思想的」だったのでしょうか。
あるいは、このガイドさんが覚え間違えていたのでしょうか。

英語にすることで理解できました。

クラシックは、理想的な美を求める様式だからです。

母語日本語の私が母語ロシア語のガイドさんの話を、つまりガイドさんの日本語を理解できなかった説明を英語にすることで理解できたというエピソードでした。

話題5

私は、約半世紀前に興味深い経験をしました。
中学校2年生になったとき、最初の授業で、英語の先生が次のように言いました。

「あなたはペンを持っていますかという疑問文を
去年は
Have you a pen ?
としましたが、
今年からは
Do you have a pen ?
ということにします」

日本の英語教育がイギリス英語からアメリカ英語に変わった瞬間の話でした。

今でも英国英語で検索すると
Have you got a pen ?
という表現がめにつきます。

世界中、様々な地域で話される英語ですから、地域によって微妙に表現が異なるのです。

話題6

私が中学生だったころ、
この頃の英語は、戦後混乱期の日本が英米の先進文化を学ぶための英語でした。

先進文化を学ぶのですから、なによりもカタログを読む能力が大切だったのだろうと思います。
実は、今でもウェブ検索をする上では、読み取り能力は重要なのですが・・・・




話題7
1990年頃、面白いジョークを見ました。

冷戦の終わり頃のジョークです。

国連でソ連代表が
「英語が共通語のように言われているが、それは違う」
と発言しました。(ジョークであってニュースではありません。念のために)
「何を言い出すのだろうか」
会場は静かになったそうです。
一呼吸おいて
ソ連代表は言いました。
「世界共通語は、英語ではなく・・・・
ブロークンイングリッシュである」
(笑い)

というジョークでした。

話題7
最近の状況は、「英語話者人口」で検索すると、次のようなデータがヒットします。

世界の人口は約70億
内、英語話者は、17.5億人
約25パーセント

4人にひとりと言いますと、
「意外に少ない」と思うのですが・・・・

次に、ネイティブスピーカーは、3.9億人
約78パーセントが非ネイティブ

英語は、そんな意味で、つまり母語としてではなく外国語として学び、話す人が多い、つまりいざというときに通じる可能性が高いという意味で共通語的になっていると言えるのではないでしょうか。
当然「ブロークン」というか
様々な方言も混じるでしょう。


話題8
英語は、最も語彙の多い言語だと言われます。

フランス語やドイツ語の単語数が10万前後であるのに対して英語は60万前後だとか

「キモノ」「ゲイシャ」「ツナミ」等々
日本語もたくさん英語になっていますから
こんなふうに世界の語彙を取り入れると英語の語彙が増えるのも不思議なことではありません。

英語は世界に広まったから、世界の様々な言語を取り入れたのです。
だから、英語には、かなり地域色の強い単語も取り入れられているはずです。

語彙が多いと辞書が大変。
ネイティブスピーカーの語彙力の差もかなりなもの


話題9
例えば

「チャイナ」といいますと「磁器」という意味があるように
「ジャパン」は「漆器」という意味があるのですが
明らかに英語ネイティブなのにこれを理解しない人に会ったことがあります。



そして

日本には、

カタカナ、誤用英語が氾濫しています。
カタカナ、造語、誤用英語については別に書いていますからここでは深入りしませんが・・・・。



英語は、世界中に広まったため色々な単語、つまりは、諸地方の文化、ひいては概念を取り入れますから、語彙が多くなりました。

語彙が多ければ世界中の文化に関する様々な用語に対する英単語がありそうです。
あるはずです。

それでも、訳しきれない概念や混乱する用語もあるようです。

「混合用法」がそれです。

というわけで、
色々前置きしましたが、

最近美術館で気になっている
「混合用法」という単語について

次のページに書きます。